「カエル」と音楽

東京を拠点に活動するライター HEU がテーマを一つ選び、そのテーマにインスパイアされたアルバムを紹介するシリーズの第3弾!今回は「カエル」の魅力に迫ります。

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完全に水中で生活していて、地上で呼吸もできるカエルさん。オスはメスを引き寄せるために「ガァガァ」という鳴き声をし、種類によって音も異なります。彼らの喉のところには鳴嚢と呼ばれるバルーンのように空気を膨らませる器官があり、そのサウンドは遠くまで反響します。今回は繁殖期のカエルの鳴き声の収録から、意味なくカエルという名前を付けたアルバムまで紹介します。まれなフロッグキーのチューンを巡りましょう。

Jun Fukamachi 
Quark (1980)

カエルのぬいぐるみが卵を抱いているというカバーに魅了されました。 深町純は、日本のフュージョンミュージックとシンセサイザーの、世界をリードする日本人作曲家・キーボード奏者。クラシック音楽の背景とオペラ音楽作曲の経験は、深町の音楽にさらなる多様性をもたらしました。 本作はピアノとシンセサイザーの実験によるソロアルバムであり、“Perpetual”の曲からはジャズの要素も聞こえます。海外で発表するために制作したアルバムで、「オリエンタル」といったテーマを意識して作曲したようです。 最後の曲、“Insight”は心臓の鼓動が規則的に流れていますが、不規則なコンピューターシンセサイザーのパターンがアルバムに緊張感を加えています。

Fake 
Frogs in Spain (1984) 

『Frogs in Spain』はイタロディスコとシンセポップのアルバムです。『Memories in Pan』としても知られる、FakeというユニットのErik StrömbladとStefan Bogstedtが制作しました。リードソングライターのStrömbladはアレンジメント、ドラムのプログラミングとシンセサイザーを担当しました。ちょっとブギーしたい時は、イージーリスニングかつダンスポップの本アルバムを楽しむことができます。

Christian Renou 
Frog (2013) 

フランスのミュージシャン、クリスチャン・ルノー。 彼はアンビエント音楽の先駆者、フリップ&イーノのシュールなサウンドスケープ『NO PUSSYFOOTING』に触発されて音楽の制作を始めました。1978年から、エレクトロニック、インダストリアル、エレクトロアコースティック、ノイズミュージックを制作してきました。ルノーの音楽スタイルは、アナログとデジタル、音楽とオブスキュア音の間であり、視覚と音声の関係を結び付けています。『Frog』ではテクスチャに焦点を当てました。 抽象的な音は不確定な美しさを生み出し、リスナーの想像力を引き出せます。こちらのアルバムの細部は特に魅力的です。

Enrico Simonetti
Blue Frog (1975)

著名な作曲家クラウディオ・シモネッティの父であるエンリコ・シモネッティは、イタリアのピアニスト、作曲家、指揮者でした。『Blue Frog』は70年代のオーケストラファンクポップのアルバムです。最初の旋律はテンションを盛り上げ、カエルがインスパイアされたメロディは私たちをにっこりさせる力があります。アルバムの動物のサイドは主人公の青いカエルの他にも、水の蛇、月光の魚などの動物関連の曲も含まれ、もう一つのサイドはカバーソングで構成されています。かなり律動感が強い一枚です。

Quintron
The Frog Tape (2004) 

マルチインストゥルメントのワンマンバンド、Quintron。彼は、ジャンルを超えたノイズ、サウンドスケープ、ハウスロックダンスミュージックで知られ、ニューオーリンズで20年以上活躍してきました。ミュージシャン以外の活動において、自作の回転式アナログシンセサイザー「Drum Buddy」を製作し、アメリカの名高いアバンギャルドアーティストのローリー・アンダーソンもこのシンセを持っています。『The Frog Tape』の前半は、短いサウンドトラックのような恐ろしい実験的な曲で構成されています。 後半は、繁殖期の最盛期におけるカエルの収録です。繁殖期のときは普段より大きな鳴き声を出しています。楽しくて怖く、ハロウィーンパーティーにぴったりに違いありません。

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