特集:Terry Riley, “In C”

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ミニマル音楽の先駆者、テリー・ライリーは、反復、テープループ、ディレイを徹底的に用いた実験音楽で知られています。1964年の『In C』は20世代を代表する作品であり、スティーヴ・ライヒやフィリップ・グラス、 タンジェリン・ドリームなど、著名なミュージシャンに深い影響を与えました。彼はパリで演劇プロジェクトのためにジャズトランペット奏者のチェット・ベイカーと働いていた時、ループと音楽の可能性を発見しました。一夜で書き終わったという本作は、よりコンセプチュアルなアイデアを追求しています。

シンプルさの中に、束縛のない自由さと、様々なレイヤーが重なる複雑な多様性があり、コンポジションと創造性に、新たなアプローチを生み出しています。参加者の人数は35人に限られず、特定のジャンルに縛られることなく、アマチュアやプロ、ジャズから古典派の音楽家まで参加できるので、毎回異なった演奏が聞こえてきます。ライリーの緩いガイドラインおかげで、ミュージシャンは共同作品として意識させられ、より自由な表現が可能です。

お分りいただけたでしょうか。このように『In C』は、53の短いパターン連続して演奏される曲です。演奏者は、次のパターンに進む前に一つのパターンを何回プレイするか、自分で決めることができ、それぞれの異なったペースやテンポで進んでいきます。ライリーは演奏者に他のミュージシャンの音をじっくり聞くよう勧めています。自分の音楽は全体的なアンサンブルの流れにどのような影響を与えるのか。演奏者は前もって想像し、考えなければなりません。自分のパートが終わっても、全員が最後のパターンにたどり着くまではそのままプレイ。これはプロセスの中に、演奏者同士の社会的な絆が生まれます。

『In C』は1964年に発表されてから、今まで様々な国の音楽家が数えきれないほど演奏してきました。さて、それでは二つの演奏を聞いてましょう。

2014年にAfrica Expressが50周年のために作り上げた『In C Mali』

2016年にRoyal Irish Academy of Musicの学生がシンセモジュールでプレイした『In C』


インドの古典音楽とジャズから影響を受けたライリーは、『In C』の発表後も長い間にわたって、音楽の即興的要素を熱烈的に追求しました。彼の他のおすすめ作品はこちらから。

Rainbow in Curved Air 1969 

Shri Camel - Holland Festival 1977

written by HEU

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